記憶

摩訶不思議な怖い話 File.169



 投稿者 青都 様





小学校5年生の時に実際に体験した話です。

2時間目の授業が終わり、次は体育の時間でした。

その日、週番だった私とMちゃんは授業の前に体育館にマットを敷くように先生から朝、

言われており、みんなが体育館に行く前にMちゃん、

仲の良かったYちゃんと一緒に先に体育館へ行きました。

誰もいない体育館。

しゃべると声がよく響きました。

体育倉庫へ3人で向かう途中、

体育館の中央あたりまで来たところで体育館の右奥にあるトイレから物音がしました。

『カタン・・』

「誰かいるのかな?」

Yちゃんが言いました。

「でも、今日体育館を使うのはうちのクラスが最初なんじゃない?

鍵だって先生からホラ、預かってたし。」

私もそのMちゃんの言葉にうなずきました。

何か掃除用具かなんかが倒れたんだろう。

そう思って私たちはまた、体育倉庫へ向かいました。

大きなマットを3人で運び終え、一度教室へ戻ろう。体育館を出ようとしたその時。

またトイレのほうから

『ガタ・・』

と音がしました。

「??」

「やっぱり誰かいるんじゃない?」

Yちゃんがまた言いました。

3人はトイレへ向かって歩いて行き途中で私は声をかけた。

「誰かいるんですかー?」

『・・・・・』

当時、女子トイレには花子さんが出るという噂話が萬栄していたので

少しビクビクしながら近づいて行くが返答はない。

「やっぱりなんか倒れたんだよ。」

そうYちゃんが言い終わった時でした。

『・・タスケテ・・・』

男の低い声が、男子トイレからしました。

私たちは大声を上げながら一目散に体育館出

口へ向かって走りだしました。

私はもともと運動が苦手で走るのも遅く、

あっという間に2人に置いていかれ最後尾を走っていました。

そしてお約束の通り転んでしまったのです。

「はぁはぁ・・ヤバイヤバイ!!!」

後ろにはただならぬ気配を感じていましたが、

恐怖と痛みでなかなか立ち上がる事ができずにいました。

ようやく脚が動き、体育館を出ようとした時。

『タスケテヨ』

耳元で、さっききいた男の声。そしてそこからの記憶はなく気づいたら保健室にいました。

体育館に来たクラスの男子が、倒れていた私を発見して保健室へ運ばれたようです。

「さっきのはなんだったんだろう・・」

絶対、この世の人間ではない。トイレから走って逃げる時、私が最後尾を走っていたが

後ろから走ってくる足音はしなかった。

でも、間違いなく耳の傍で聞こえたあの声。

男子トイレに何か不吉な霊がいるに違いないと思った。

私は1時間ほど休み給食の時間が終わったころに教室へ戻った。

ちょうどお昼休みだったので、さっきの出来事をYちゃんとMちゃんに話した。

「みんなが体育館から出てったあと、あの男の人が耳元で『タスケテ』て言ったんだよ!

なんかあるんだよ、あのトイレ。先生に話して調べてもらおうよ!!」

私が半ば涙目で2人にそう訴えた。

2人だって、私ほどではないにしろ怖い体験をしたのだから

一緒に先生に話してくれれば先生だってきっと信じてくれる。そう思った。

だが、2人の反応はその後私を更に恐怖に陥れ

33歳になった今でも謎のまま私の記憶に残すものだった。

『え??なんのこと?体育館って?』

YちゃんもMちゃんも、私と体育館には行っていないという。

私が一緒にマットを敷いたのは誰だったんだろう。

あの時の記憶。私だけしか覚えていない。



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